
【微分の基本1|微分係数の定義と図形的意味,接線の定義】の続きです.
関数の
での微分係数は,
のグラフ上の点
を通る直線の平均変化率の極限として定義され,
と表すのでした.
すなわち,式で書けば,
で定義されるのでした.
さて,この記事では微分係数から自然に定義される導関数と,導関数の性質について説明します.
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導関数の定義
関数は各
で微分係数が存在するとします.つまり,図形的には
のグラフはどの
でも「とんがって」おらず,接線が考えられるとします.
このとき,の各
での微分係数を対応させる関数を
の導関数といいます.つまり,
[導関数] 関数に対して,任意の実数
に対して,
で導関数が存在するとする.このとき,
で定まる関数を
の導関数といい,導関数を求めることを微分するという.
また,関数に対して,
は
とも表す.
ここで,導関数の定義式がと
の2通りありますが,結局どちらも同じです.
【参考記事:ワンポイント数学5|2つの微分の定義式】
なお,前回の記事で書いたように,微分係数の定義は次の通りでした.
[微分係数] 関数と実数
に対して,
が存在すれば,この値を「関数の
における微分係数」といい,
と表す.
[定義(導関数)]と[定義(微分係数)]の大きな違いはが固定されているか,されていないかです.
簡単に言えば,微分係数はを
や
などと固定したときの極限です.一方,導関数は
を
や
などと固定せずに考える極限です.
導関数のイメージ
今まではのように,
を
に固定して微分係数を考えていました.このとき,実際には
は何らかの数です.
このように,いちいちを1つに定めて微分係数を計算するのは面倒です.そこで,「
を一つに固定するのではなく,様々な
で考えよう」というのが導関数の考え方です.
どういうことかというと,たとえばに対して,
と
を求めたいとき,
よりであり,
よりと計算することになるわけですが,少し数字が変わっているだけでどちらも同様の計算をしています.
このことから
「じゃあ,とか
とか置かずに,
のまま計算したらええやん!」
という発想に思い至ります.
そして,まさしくこれが導関数なのです.実際に,のまま計算すると,
となります.
を固定せずに計算することで,
は関数となるのです.
ですから,が求まれば,
,
,
は,
に代入して,
,
,
と分かりますね.
を固定せずにあえて
のまま考え,最後に
に代入することで各点の微分係数が求まるわけです.
導関数は微分係数を求める時と同じようにすれば求まる.
導関数の例
次の例を考えます.
次の関数の導関数を求めよ.
やっていることは,微分係数を求める時にやっていたこととほぼ同じです.
例1
のとき,
である.
したがって,どのをとっても(
でも
でも
でも何でも)そこでの接線の傾きは
です.
確かに,のグラフは直線ですから,どこででも傾きは
で一定です.
例2
のとき,
である.
したがって,どのをとっても(
でも
でも
でも何でも)そこでの接線の傾きは
です.
確かに,のグラフは定数関数ですから,どこででも傾きは
で一定です.
例3
のとき,
である.
したがって,,
,
など,各
での微分係数は瞬時に出ますね.
【微分の基本3|多項式の導関数と,導関数の性質】に続きます.
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