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背理法2|背理法が有効な証明の2つのタイプと例

  
   

背理法1|背理法の仕組みと例】の続きです.

前回の記事では,「背理法」の基本的な考え方を説明しました.「最初に結論が間違っていると決め付けて,それを利用して矛盾を導くことでその決めつけが間違っている」という論法が「背理法」でした.

例えるなら,「相手の嘘を暴くには,相手にその嘘と矛盾することを喋らせれば良い」というわけですね

この記事では,どのようなタイプの証明に「背理法」が有効なのかを説明します.また,その理由も説明します.

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背理法が有効な証明

背理法が有効な問題は次の2つのタイプの証明がほとんどです.

  1. 「当たり前」の証明
  2. 「否定」の証明

「『当たり前』の証明」とは「成り立ちそうなことは分かるが,当たり前すぎて却って証明しにくい場合」の証明のことで,「『否定』の証明」とは「~でないことを示せ」の形の証明のことです.

この基準はとても役に立つのでぜひ意識して欲しいところです.実際,私がこの2つのタイプの証明を考えるとき,真っ先に「背理法」が使えないか考えます.

この2つのタイプを前回の記事でも解いた次の問題に当てはめて考えてみます.

[問1] 整数aに対し,a^2が偶数ならaも偶数であることを示せ.

[問2] \sqrt{2}は無理数であることを示せ.

「当たり前」の証明

[問1] 整数aに対し,a^2が偶数ならばaも偶数である.

直観的にa^2が偶数なのにaが奇数となるようなことはなさそうですから,この問題の主張に対しては「うん,そらそうやな」と言いたくなる人も多いことでしょう.

こんな場合が「『当たり前』の証明」に当たります.ですが,「当たり前」では証明ではありませんから,当然きちんと証明する必要があります.ここで,「背理法」の出番なわけです.

背理法はわざと「成り立たない仮定」を立てて矛盾を導く論法でしたから,当たり前なことを証明する場合は「成り立たない仮定」を立てると簡単に矛盾が導けることが多いのです.

a^2が偶数ならaは偶数である.」に対しては,「もしaが奇数なら,a^2は奇数になるので矛盾.よってaは偶数である.」と,簡単に矛盾が導けてしまうのです.

「否定」の証明

[問2] \sqrt{2}は無理数であることを示せ.

この問題は「『否定』の証明」の典型例です.

「え?[問2]は『無理数であることを示せ』やから否定ちゃうやん」

と思うかもしれません.問題文を見れば確かにそうなのですが,「無理数」とはそもそも「有理数でない実数」のことでした.つまり,[問2]は

\sqrt{2}が有理数でないことを示せ.

と同じなのです.この意味で[問2]は本質的には「『否定』の証明」となっているのです.

さて,「『否定』の証明」に対して「背理法」が有効な理由は一言でいえば,「肯定文の方が条件を式に直しやすいから」ということになります.

逆に言えば,「~でない」という否定文を式に直すのは面倒であったり難しかったりすることが多いのです.

実際,[問2]のような「無理数である」=「有理数でない」という文を式に直すのは(少なくとも高校数学では)非常に難しく,一方で「有理数である」という条件は「有理数が整数pq(q\neq0)を用いて\dfrac{p}{q}と表せる」ので,式に直しやすいのです.

他に簡単な例では,「x4の倍数である」というのは「x=4k(kは整数)」と表せますが,「x4の倍数でない」というのを式で表すのは面倒です.

それでもあえて表すとすると「x=4k+1またはx=4k+2またはx=4k+3(kは整数)」という感じになりますが,あまり式が多いのは嫌ですね.

「~でないことを示せ」という「『否定』の証明」に背理法を使うと,「~である,と仮定する」と肯定的な仮定を立てられるので条件を式に直しやすいのです.

ですから,本質的には「『否定』の証明」でなくても,「成り立たない仮定」をすることによって「条件が書きやすくなる」なら,背理法が有効にはたらくことが多いのです.

まとめ

背理法が有効な問題と,その理由は次の通りです.

  1. 「当たり前」の証明←「当たり前」なことを否定すると,矛盾が生じやすい
  2. 「否定」の証明←「否定」を否定すると,肯定となるので条件を書きやすい

もちろん,これに当てはまらない場合もあり得ます.

しかし,この2つを意識しておけば,証明で背理法を思い付きやすくなるでしょう.

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