
【数列の基本4|階差数列の一般項と公式】の続きです.
数列の和を求めるときに,「部分分数分解」を使うことがよくあります.
部分分数分解はマイナーな知識と思われがちですが,ちゃんと数Bの教科書にも載っていますし,理系の人は数IIIで分数関数を積分するときにもよく使います.
また,部分分数分解は形を丸覚えするのではなく,自分で導出できるようにしておいてください.部分分数分解が苦手な人はこの記事で自分のものにしてください.
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部分分数分解
部分分数分解とは大雑把にいえば,「1つの分数を複数の分数の和(もしくは差)に分けること」を言います.
たとえば,は
と2つの分数の和に分けることができます.これは簡単な例ですが,部分分数分解をしています.
部分分数分解の公式
[部分分数分解の公式]は次の通りです.
[部分分数分解の公式] とすると,次の等式が成り立つ.
さて,公式を書いた直後ですが,私は[部分分数分解の公式]はちゃんとは覚えていません.覚えていなくても,部分分数分解の理屈を理解していれば,この公式は瞬時に自分でつくれます.
下手に覚えると,なのか
なのか怪しくなりますし,
なのか
なのかも怪しくなります.
丸覚えではなく,理屈から導出できるようにしてください.
部分分数分解の公式の考え方
まず,を通分するとどうなるでしょう?中学生の計算ですが,
となりますね.では,を通分するとどうなるでしょう?
となりますね.いま,分数を足したものと引いたものを実際に通分して計算しましたが,どうでしょうか?
「引いたもの」は通分したときにと
が出てきて打ち消し合います.一方,「足したもの」は通分したときに
と
が出てくるので打ち消し合えません.
このことから,「引いたもの」の方がスッキリした形になるのは分かることでしょう.
さて,「引いたもの」の式から,
ですから,この式の両辺をで割ると,部分分数分解の公式
が得られました.
さて,ここでもう一度を見てみます.
これをの形に部分分数分解したいわけですが,
と
の間の符号をマイナスにすれば,通分した時に分子に現れるのが
であるのがわかります.
ということは,通分したあとにで割れば,
が出てくることが分かりますね.
なお,数IIIの積分では,わざと足してを分子に残して考えた方が良い場合もあるのですが,ここでは説明しません.
部分分数分解を用いた数列の和
さて,部分分数分解を用いて数列の和を計算してみます.
上で書いた部分分数分解の考え方を確かめながら読んでください.
例1
一般項がの数列
の和
を求めます.
まず,を部分分数分解して
と
の項が現れ,これらを通分したときに分子に
が現れないようにしたいのですが,どうでしょうか.
から
を引いて通分すると,
となって分子の
が打ち消し合います.したがって,
となります.今回は,たまたま分子がと
の差が
なので,これで部分分数分解は終了です.
さて,これでが分かりました.これを用いると,和
は
と分かります.下から2行目の等号で同じものがバサバサ消えているのが分かりますね.
例2
一般項がの数列
の和
を考えます.
まず,を部分分数分解して
と
の項が現れれるようにするのですが,これらを通分したときに分子に
が現れないようにしたいのですが,どうでしょうか?
から
を引いて通分すると
となって
が打ち消し合います.したがって,
となります.これは例1と違って,分子にが出てきました.この
は
と
の差の
です.この両辺を
で割って
です.これで部分分数分解ができました.
さて,これでが分かりました.これを使うと,和
は
と分かります.例1と同じく下から2行目の等号で同じものがバサバサ消えているのが分かりますね.
なお,最後の等号の計算の部分は省略しました.各自,確かめてみてください.
【数列の基本6|等差×等比の和の求め方】に続きます.
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