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数列の基本5|部分分数分解を用いて計算する数列の和

前の記事「数列の基本4 ―階差数列の一般項と和の公式―」の続きです.

数列の和を求めるときに,「部分分数分解」を使うことがよくあります.

部分分数分解はマイナーな知識と思われがちですが,ちゃんと数Bの教科書にも載っていますし,理系の人は数IIIで分数関数を積分するときにもよく使います.

また,部分分数分解は形を丸覚えするのではなく,自分で導出できるようにしておいてください.部分分数分解が苦手な人はこの記事で自分のものにしてください.

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部分分数分解

部分分数分解とは大雑把にいえば,「1つの分数を複数の分数の和/差に分けること」を言います.

たとえば,1/6(1/2)-(1/3)と2つの分数の和に分けることができます.これは簡単な例ですが,部分分数分解をしています.

さて,この節の目標は\frac{1}{(x+a)(x+b)}の形の分数を\frac{1}{\square}\left(\frac{1}{x+a}\pm\frac{1}{x+b}\right)の形に部分分数分解できるようになることです.

部分分数分解の公式

まず,部分分数分解の公式を書いてしまいます.

\displaystyle\frac{1}{(x+a)(x+b)}=\frac{1}{b-a}\left(\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}\right)

もし,難しくて分からない,という人がいれば,それは丸暗記しようとしているからです.なぜこの式が成り立つのかをちゃんと考えて公式を使えれば,安心して使えますし何より間違えません.

例によって,私はこの公式も覚えていません.この公式に代入して計算するよりも,その場でその式を直接部分分数分解する方が早いからです.慣れてしまえば,この公式は瞬時に自分でつくれます.

私たちの頭はそれほど暇ではありませんから,丸覚えするものはできるだけ減らし,理解していつでもすぐに取り出せるようにしたいものです.

部分分数分解の公式の導出

まず,\frac{1}{x+a}+\frac{1}{x+b}を通分するとどうなるでしょう?中学生の計算ですが,

\displaystyle\frac{1}{x+a}+\frac{1}{x+b}  =\frac{x+b}{(x+a)(x+b)}+\frac{x+a}{(x+a)(x+b)}  =\frac{2x+a+b}{(x+a)(x+b)}

となりますね.では,\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}を通分するとどうなるでしょう?

\displaystyle\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}  =\frac{x+b}{(x+a)(x+b)}-\frac{x+a}{(x+a)(x+b)}  =\frac{b-a}{(x+a)(x+b)}

となりますね.いま,分数を足したもの引いたものを実際に通分して計算しましたが,結果がすっきりしていると思うのはどちらでしょう?

私は引いた方がすっきりしていると思います.おそらく,ほとんどの方がそう思われると思います.その最大の理由は分子にxが含まれていないことにあります.

さて,では引いた方の式の最右辺と最左辺を眺めるとどうでしょう?

\displaystyle\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}=\frac{b-a}{(x+a)(x+b)}

気付きましたか?この式の両辺をb-aで割ると,部分分数分解の公式

\displaystyle\frac{1}{(x+a)(x+b)}=\frac{1}{b-a}\left(\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}\right)

が得られました.

さて,ここで考えたいのが,なぜ引いた方がすっきりするのかということです.その理由は通分したときに分子のxが打ち消し合ってなくなってくれるからですね.

通分した\frac{x+b}{(x+a)(x+b)}-\frac{x+a}{(x+a)(x+b)}どちらの項の分子にもxが含まれていますが,引くことでそれらが消えてなくなるわけですね.

さて,ここでもう一度\frac{1}{(x+a)(x+b)}を見てみます.

これを\frac{1}{\square}\left(\frac{1}{x+a}\pm\frac{1}{x+b}\right)の形に部分分数分解したいわけですが,\frac{1}{x+a}\frac{1}{x+b}の間の符号をマイナスにすれば,通分した時に分子に現れるのがb-aであるのがわかります.

ということは,通分したあとにb-aで割ってやれば,\frac{1}{(x+a)(x+b)}となることが分かります.

なお,わざと足してxを分子に残して考えた方が良い場合もたまにあるのですが,ここでは書きません.

部分分数分解を用いた数列の和

部分分数分解を用いて数列の和を計算してみます.

上で書いた部分分数分解の考え方を確かめながら読んでください.

例1

一般項がa_n=\frac{1}{n(n+1)}の数列\{a_n\}を考えます.このとき,和\sum\limits_{k=1}^{n}a_kはどうなるでしょうか?

まず,a_n=\frac{1}{n(n+1)}を部分分数分解して\frac{1}{n}\frac{1}{n+1}の項が現れ,これらを通分したときに分子にnが現れないようにしたいのですが,どうでしょうか.

\frac{1}{n}から\frac{1}{n+1}を引いて通分すると\frac{}{n(n+1)}の分子のnが打ち消し合います.実際に引いて通分すると,

\displaystyle\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}=\frac{n+1}{n(n+1)}-\frac{n}{n(n+1)}=\frac{1}{n(n+1)}

となります.今回は,たまたま分子がnn+1の差が1なので,これで部分分数分解ができています.

さて,これでa_n=\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}が分かりました.これを使うと,和\sum\limits_{k=1}^{n}a_k

\displaystyle\sum_{k=1}^{n}a_k  =\sum_{k=1}^{n}\left(\frac{1}{k}-\frac{1}{k+1}\right)\\  \hspace*{2em}  =\left(1-\frac{1}{2}\right)+\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{3}\right)+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{4}\right)  +\dots+\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right)\\  \hspace*{2em}  =1+\left(-\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\right)+\left(-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}\right)  +\dots+\left(-\frac{1}{n}+\frac{1}{n}\right)-\frac{1}{n+1}\\  \hspace*{2em}  =1-\frac{1}{n+1}\\  \hspace*{2em}  =\frac{n}{n+1}\\

と分かります.下から2行目の等号で同じものがバッサバッサ消えているのが分かりますね.

例2

一般項がa_n=\frac{1}{(n-1)(n+1)}の数列\{a_n\}を考えます.このとき,和\sum\limits_{k=2}^{n}a_kはどうなるでしょうか?

例1とほとんど同じですが,ちゃんと部分分数分解ができますか?

まず,a_n=\frac{1}{(n-1)(n+1)}を部分分数分解して\frac{1}{n-1}\frac{1}{n+1}の項が現れれるようにするのですが,これらを通分したときに分子にnが現れないようにしたいのですが,どうでしょうか?

\frac{1}{n-1}から\frac{1}{n+1}を引いて通分すると\frac{}{(n-1)(n+1)}の分子のnが打ち消し合います.実際に引いて通分すると,

\displaystyle\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n+1}=\frac{n+1}{(n-1)(n+1)}-\frac{n-1}{(n-1)(n+1)}=\frac{2}{(n-1)(n+1)}

となります.これは例1と違って,分子に2が出てきました.この2はn-1n+1の差の2です.しかし,問題ありません.この両辺を2で割って

\displaystyle\frac{1}{2}\left(\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n+1}\right)=\frac{1}{(n-1)(n+1)}

です.これで部分分数分解ができています.

さて,これでa_n=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n+1}\right)が分かりました.これを使うと,和\sum\limits_{k=2}^{n}a_k

\displaystyle\sum_{k=2}^{n}a_k  =\sum_{k=2}^{n}\frac{1}{2}\left(\frac{1}{k-1}-\frac{1}{k+1}\right)\\  \hspace*{2em}  =\frac{1}{2}\sum_{k=2}^{n}\left(\frac{1}{k-1}-\frac{1}{k+1}\right)\\  \hspace*{2em}  =\frac{1}{2}\left\{\left(1-\frac{1}{3}\right)+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\right)+\left(\frac{1}{5}-\frac{1}{7}\right)  +\dots+\left(\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n+1}\right)\right\}\\  \hspace*{2em}  =\frac{1}{2}\left\{1+\left(-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}\right)+\left(-\frac{1}{5}+\frac{1}{5}\right)  +\dots+\left(-\frac{1}{n-1}+\frac{1}{n-1}\right)-\frac{1}{n+1}\right\}\\  \hspace*{2em}  =\frac{1}{2}\left(1-\frac{1}{n+1}\right)\\  \hspace*{2em}  =\frac{n}{2(n+1)}\\

と分かります.例1と同じく下から2行目の等号で同じものがバッサバッサ消えているのが分かりますね.

次の記事「数列の基本6 ―「等差数列と等比数列の積」の和―」に続きます.

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