数列4
数列の和を表せるシグマ記号Σの定義と性質

数列
数列

前回の記事と前々回の記事では,

  • 等差数列の和
  • 等比数列の和

を考えました.その際,和を

   \begin{align*}&a+(a+d)+(a+2d)+\dots+\{a+(n-1)d\}, \\&a+ar+ar^2+\dots+ar^{n-1}\end{align*}

と書き並べて表すのは少々面倒です.

この程度ならまだ少し面倒なくらいですが,もっと複雑になると大変ですね.

そこで,数列の和を短く表す記号としてシグマ記号$\sum$があります.

この記事では,

  • シグマ記号$\sum$の定義
  • シグマ記号$\sum$の具体例
  • シグマ記号$\sum$の基本性質

を順に説明します.

シグマ記号$\sum$

まずはシグマ記号$\sum$の定義と具体例をみてみましょう.

シグマ記号の定義

正の整数$n$に対して,数列$\{a_n\}$の初項$a_1$から第$n$項$a_n$までの全ての和$a_1+a_2+\dots+a_n$を$\sum\limits_{k=1}^{n}a_k$と表す.すなわち,

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}a_k=a_1+a_2+\dots+a_n\end{align*}

である.

は英語で“sum”であり,$\Sigma$シグマは“S”に相当するギリシャ文字の大文字です.また,$\Sigma$の小文字は$\sigma$です.

要するに$\sum\limits_{k={\color{magenta}1}}^{\color{blue}n}$は「$k$に$\color{magenta}1$から$\color{blue}n$までの整数を代入したものを足せ」という意味の記号というわけですね.

そもそもシグマ記号はまだ紙が貴重だった時代に省スペースのために考案されたのが起源で,シグマ記号を使うことによって式がスッキリ書けるというメリットがあります.

また,初項$a_1$からではなく第$m$項からの和を考えたいときは同様に次のように表します.

正の整数$m$, $n$ ($m\le n$)に対して,数列$\{a_n\}$の第$m$項$a_m$から第$n$項$a_n$までの全ての和$a_m+a_{m+1}+\dots+a_n$を$\sum\limits_{k=m}^{n}a_k$と表す.すなわち,

   \begin{align*}\sum_{k=m}^{n}a_k=a_m+a_{m+1}+\dots+a_n\end{align*}

である.

$2\le m\le n$なら

   \begin{align*}\sum_{k=m}^{n}a_k=\sum\limits_{k=1}^{n}a_k-\sum\limits_{k=1}^{m-1}a_k\end{align*}

ということですね.

シグマ記号の具体例

具体的に考えてみましょう.

次の和を書き並べて表せ.

   \begin{align*}\sum\limits_{k=1}^{5}3k,\quad \sum\limits_{k=1}^{3}(2k-1),\quad \sum\limits_{k=7}^{10}3\cdot(-2)^{k},\quad \sum\limits_{k=1}^{4}2\end{align*}

(1) $\sum\limits_{k=1}^{5}$は「$k$に$1$から$5$までの整数を代入して足し合わせる」という意味だから,

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{5}3k=3\cdot1+3\cdot2+3\cdot3+3\cdot4+3\cdot5\end{align*}

(2) $\sum\limits_{k=1}^{3}$は「$k$に$1$から$3$までの整数を代入して足し合わせる」という意味だから,

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{3}(2k-1)=(2\cdot1-1)+(2\cdot2-1)+(2\cdot3-1)\end{align*}

(3) $\sum\limits_{k=7}^{10}$は「$k$に$7$から$10$までの整数を代入して足し合わせる」という意味だから,

   \begin{align*}\sum_{k=7}^{10}3\cdot(-2)^{k}=3\cdot(-2)^{7}+3\cdot(-2)^{8}+3\cdot(-2)^{9}+3\cdot(-2)^{10}\end{align*}

(4) $\sum\limits_{k=1}^{4}$は「$k$に$1$から$4$までの整数を代入して足し合わせる」という意味だから,

   \begin{align*}\sum\limits_{k=1}^{4}2=2+2+2+2\end{align*}

最後の例について,一般に定数$a$に対して$\sum\limits_{k=1}^{n}a$は「$k$を代入してもいつでも$a$」と考えて,$a$を$n$回足し合わせることに注意してください.

シグマ記号の基本性質

次にシグマ記号$\sum$の基本性質を説明します.

基本性質

次の性質はシグマ記号$\sum$の計算をする上で大切です.

数列$\{a_n\}$, $\{b_n\}$と定数$p$, $q$に対して,

   \begin{align*}&\sum_{k=1}^{n}(a_k+b_k)=\sum_{k=1}^{n}a_k+\sum_{k=1}^{n}b_k, \\&\sum_{k=1}^{n}pa_n=p\sum_{k=1}^{n}a_k\end{align*}

が成り立つ.

つまり,和はバラバラにでき,定数倍は$\sum$の外に出せるわけですね.

実際に書き並べて変形することで

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}(a_k+b_k) =&(a_1+b_1)+(a_2+b_2)+\dots+(a_n+b_n) \\=&(a_1+a_2+\dots+a_n)+(b_1+b_2+\dots+b_n) \\=&\sum_{k=1}^{n}a_k+\sum_{k=1}^{n}b_k\end{align*}

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}pa_n =&pa_1+pa_2+\dots+pa_n \\=&p(a_k+a_{k+1}+\dots+a_n) \\=&p\sum_{k=1}^{n}a_n\end{align*}

が得られる.

この2つの等式を併せると次が成り立ちますね.

数列$\{a_n\}$, $\{b_n\}$と実数$p$, $q$に対して,

   \begin{align*}\sum_{n=k}^{\ell}(pa_n+qb_n) =p\sum_{n=k}^{\ell}a_n+q\sum_{n=k}^{\ell}b_n\end{align*}

が成り立つ.

高校数学では知らなくても問題ありませんが,$\sum$のように和をバラバラにでき,定数倍を外に出せる性質を線形性といいます.

基本性質の具体例

次の和を$n$を用いて表せ.

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}(2k-3\cdot2^k)\end{align*}

求める和は

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}(2k-3\cdot2^k) =2\sum_{k=1}^{n}k-3\sum_{k=1}^{n}2^k\end{align*}

とできるから,$\sum\limits_{k=1}^{n}k$と$\sum\limits_{k=1}^{n}2^k$を求めれば良い.

$\sum\limits_{k=1}^{n}k$は$1+2+3+\dots+n$で初項$1$,公差$1$の等差数列の和だから

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}k=\frac{n(n+1)}{2}\end{align*}

である.また,$\sum\limits_{k=1}^{n}2^k$は$2+2^2+2^3+\dots+2^n$で初項$2$,公比$2$の等比数列の和だから

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}2^k=\frac{2(2^n-1)}{2-1}=2^{n+1}-2\end{align*}

である.

以上より,

   \begin{align*}\sum_{k=1}^{n}(2k-3\cdot2^k) =&2\cdot\frac{n(n+1)}{2}-3(2^{n+1}-2) \\=&n(n+1)-3(2^{n+1}-2) \\=&n^2+n-3\cdot2^{n+1}-6\end{align*}

を得る.

なお,途中で用いた等差数列の和の公式と等比数列の和の公式については以下の記事を参照してください.

数列2
等差数列の和の公式を直感的に理解する方法
基本的な数列である等差数列の和を求める公式はよく知られています.この記事では,等差数列の和の公式を直感的に理解する方法を紹介し,具体例から使い方を説明します.
数列3
等比数列の和の公式を具体例から理解する
公比rの等比数列の和の公式は,r=1の場合とr≠1の場合の2種類あります.この記事では等比数列の和の公式を具体例から説明し,どのように導出するかを説明します.

管理人

プロフィール

山本やまもと 拓人たくと

元予備校講師.講師として駆け出しの頃から予備校の生徒アンケートで抜群の成績を残し,通常の8倍の報酬アップを提示されるなど頭角を表す.

飛び級・首席合格で大学院に入学しそのまま首席修了するなど数学の深い知識をもち,本質をふまえた分かりやすい授業に定評がある.

現在はオンライン家庭教師,社会人向け数学教室での講師としての教育活動とともに,京都大学で数学の研究も行っている.専門は非線形偏微分方程式論.大学数学系YouTuberとしても活動中.

趣味は数学,ピアノ,甘いもの食べ歩き.

Twitter・大学数学YouTube・公式LINEを見てみる
合格タクティクス

コメント

タイトルとURLをコピーしました