前回の記事で説明したように,数列$\{a_n\}$に対して
\begin{align*}
a_{n+1}=a_n+2n
\end{align*}
のような項同士の関係式を漸化式といい,漸化式から一般項$a_n$を求めることを漸化式を解くというのでした.
漸化式はいつでも簡単に解けるとは限りませんが,簡単に解ける漸化式として
- 等差数列の漸化式
- 等比数列の漸化式
は他の解ける漸化式のベースになることが多く,確実に押さえておくことが大切です.
この記事では,この2タイプの漸化式「等差数列の漸化式」と「等比数列の漸化式」を説明します.
一連の記事はこちら
【漸化式の基本1|漸化式とは?漸化式の考え方を例から解説!】
【漸化式の基本2|漸化式の基本の[等差数列]と[等比数列]】←今の記事
【漸化式の基本3|数学的帰納法はイメージは「ドミノ倒し」!】
等差数列の漸化式
まず,等差数列を復習しましょう.
1つ次の項に移るごとに,同じ数が足されている数列を等差数列という.また,このときに1つ次の項に移るごとに足されている数を公差という.
この定義から,例えば公差3の等差数列$\{a_n\}$は
- $a_2=a_1+3$
- $a_3=a_2+3$
- $a_4=a_3+3$
- ……
となっていますから,これらをまとめると
\begin{align*}
a_{n+1}=a_n+3\quad
(n=1,2,3,\dots)
\end{align*}
と表せます.もちろん,逆にこの漸化式をもつ数列$\{a_n\}$は公差3の等差数列ですね.
公差を一般に$d$としても同じことですから,一般に次が成り立つことが分かります.
[等差数列] $d$を定数とする.このとき,数列$\{a_n\}$について,次は同値である.
- 漸化式$a_{n+1}=a_n+d$が成り立つ.
- 数列$\{a_n\}$は公差$d$の等差数列である.
さて,公差$d$の等差数列$\{a_n\}$の一般項は
\begin{align*}
a_{n}=a_1+(n-1)d\quad\dots(*)
\end{align*}
でしたから,今みた定理と併せて漸化式$a_{n+1}=a_n+d$は$(*)$と解けることになりますね.

最初の一歩は等差数列と等比数列!
等比数列の漸化式
まず,等差数列を復習しましょう.
1つ次の項に移るごとに,同じ数がかけられている数列を等比数列という.また,このときに1つ次の項に移るごとにかけられている数を公比という.
等比数列の漸化式についても,等差数列と並行に話を進めることができます.
この定義から,例えば公比3の等比数列$\{b_n\}$は
- $b_2=3b_1$
- $b_3=3b_2$
- $b_4=3b_3$
- ……
となっていますから,これらをまとめると
\begin{align*}
b_{n+1}=3b_n\quad
(n=1,2,3,\dots)
\end{align*}
と表せます.もちろん,逆にこの漸化式をもつ数列$\{b_n\}$は公比3の等差数列ですね.
公比を一般に$r$としても同じことですから,一般に次が成り立つことが分かります.
[等比数列] $r$を定数とする.このとき,数列$\{b_n\}$について,次は同値である.
- 漸化式$b_{n+1}=rb_n$が成り立つ.
- 数列$\{b_n\}$は公比$r$の等比数列である.
さて,公比$d$の等比数列$\{a_n\}$の一般項は
\begin{align*}
a_{n}=a_1r^{n-1}\quad\dots(**)
\end{align*}
でしたから,今みた定理と併せて漸化式$b_{n+1}=rb_n$は$(**)$と解けることになりますね.

最初の一歩は等差数列と等比数列!
具体例
それでは具体例を考えましょう.
$a_1=1$を満たす数列$\{a_n\}$に対して,次の漸化式を解け.
- $a_{n+1}=a_n+2$
- $a_{n+1}=a_n-\frac{3}{2}$
- $a_{n+1}=2a_n$
- $a_{n+1}=-a_n$
ただ公式を適用しようとするのではなく,それぞれの漸化式を見て意味を考えることが大切です.
- 2を加えて次の項に移っているから公差2の等差数列
- $-\frac{3}{2}$を加えて次の項に移っているから公差$-\frac{3}{2}$の等差数列
- 2をかけて次の項に移っているから公比2の等比数列
- $-1$をかけて次の項に移っているから公比$-1$の等比数列
と考えれば,初項が$a_1=1$であることから直ちに漸化式を解くことができますね.
(1) 漸化式$a_{n+1}=a_n+2$より数列$\{a_n\}$は公差2の等差数列だから,一般項$a_n$は初項$a_1$に公差2を$n-1$回加えたものである.
よって,一般項$a_n$は
\begin{align*}
a_n
=&a_1+2(n-1)
\\=&1+2(n-1)
\\=&2n-1
\end{align*}
である.
(2) 漸化式$a_{n+1}=a_n-\frac{3}{2}$より公差$-\frac{3}{2}$の等差数列だから,一般項$a_n$は初項$a_1$に公差$-\frac{3}{2}$を$n-1$回加えたものである.
よって,一般項$a_n$は
\begin{align*}
a_n
=&a_1-\frac{3}{2}(n-1)
\\=&1-\frac{3}{2}(n-1)
\\=&-\frac{3}{2}n+\frac{5}{2}
\end{align*}
である.
(3) 漸化式$a_{n+1}=2a_n$より公比2の等比数列だから,一般項$a_n$は初項$a_1$に公比2を$n-1$回かけたものである.
よって,一般項$a_n$は
\begin{align*}
a_n
=&2^{n-1}a_1
\\=&2^{n-1}\cdot1
\\=&2^{n-1}
\end{align*}
である.
(4) 漸化式$a_{n+1}=-a_n$より公比$-1$の等比数列だから,一般項$a_n$は初項$a_1$に公比$-1$を$n-1$回かけたものである.
よって,一般項$a_n$は
\begin{align*}
a_n
=&(-1)^{n-1}a_1
\\=&(-1)^{n-1}\cdot1
\\=&(-1)^{n-1}
\end{align*}
である.
次の記事では,証明で重要な手法である数学的帰納法について説明します.
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