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複素数7|複素平面上の拡大縮小/回転は複素数をかけろ!

2つの複素数z, wについて,

  • zの絶対値はr,偏角は\theta
  • wの絶対値はs,偏角は\phi

とすると,

  • zwの絶対値はrs
  • zwの偏角は\theta+\phi

となるのでした.

この[極形式の積]の公式の見方を少し変えることによって,複素平面上の[拡大縮小/回転]を考えることができます.

この記事では,複素平面上の

  • 点の[拡大縮小/回転]
  • ベクトルの[拡大縮小/回転]

について説明します.

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点の拡大縮小と回転

複素平面上の点の[拡大縮小/回転]を

  1. 原点中心の場合
  2. 一般の点中心の場合

の2ステップで考えましょう.

原点中心の場合

冒頭で書いた[極形式の積]を公式の形で確認しておきましょう.

[極形式の積] 極形式で表された2つの複素数z=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}), w=s(\cos{\phi}+i\sin{\phi})に対して,

\begin{align*} zw=rs\{\cos{(\theta+\phi)}+i\sin{(\theta+\phi)}\} \end{align*}

が成り立つ.

この[極形式の積]の公式の見方を少し変えてみると,複素数zが表す点に対して,

  • 原点\mrm{O}(0)からの距離をs
  • 原点\mrm{O}(0)中心に偏角を+\phi

した点が複素数zwの表す点となっています.

このことは,以下のようにまとめることができますね.

[原点中心の点の回転] s\geqq0, \phiを実数とする.複素平面上の点\mrm{P}(z)に対して,複素数

\begin{align*} z'=z\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi}) \end{align*}

が表す点\mrm{Q}(z')

  • 原点中心にs倍拡大
  • 原点中心に+\phi回転

した点である.

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要するに,複素平面上の点\mrm{P}(z)に対して,

  • 原点からの距離をs倍したければ,zsをかければよく
  • 原点中心に偏角を+\phiしたければ,z\cos{\phi}+i\sin{\phi}をかければよい

というわけですね.

一般の点中心の場合

次に,複素平面上の原点とは限らない点\mrm{A}(\alpha)中心の[拡大縮小/回転]を考えましょう.

複素平面上の点\mrm{P}(z)に対して,

  • \mrm{A}(\alpha)からの距離をs
  • \mrm{A}(\alpha)中心に偏角を+\phi

した点を\mrm{Q}(z')としましょう.

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このとき,点Aが原点\mrm{O}(0)にくるように点A, P, Qを平行移動すると,点Pは点\mrm{P'}(z-\alpha),点Qは点\mrm{Q'}(z'-\alpha)に移ります.

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\mrm{Q'}(w-\alpha)は,点\mrm{P'}(z-\alpha)に対して

  • 原点\mrm{O}(0)からの距離をs
  • 原点\mrm{O}(0)中心に偏角を+\phi

した点となっているので,先ほどみた原点中心の[拡大縮小/回転]の考え方から

\begin{align*} &z'-\alpha=(z-\alpha)\cot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi}) \\\iff&z'=(z-\alpha)\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi})+\alpha \end{align*}

が成り立ちます.以上をまとめると,以下のようになりますね.

[点\mrm{A}(\alpha)中心の点の回転] s\geqq0, \phiを実数とする.複素平面上の点\mrm{A}(\alpha),点\mrm{P}(z)に対して,複素数

\begin{align*} z'=(z-\alpha)\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi})+\alpha \end{align*}

が表す点\mrm{Q}(z')

  • 原点中心にs倍拡大
  • 原点中心に+\phi回転

した点である.

\mrm{A}(\alpha)が原点にくるように全体を平行移動し,原点中心の[拡大縮小/回転]を考えればよいので,

\begin{align*} z'=(z-\alpha)\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi})+\alpha \end{align*}

を覚える必要はありませんね.

また,当然のことながら,\alpha=0の場合には

\begin{align*} z'=z\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi}) \end{align*}

となって,原点中心の[拡大縮小/回転]と一致しています.

ベクトルの拡大縮小と回転

いまみた点\mrm{A}(\alpha)中心の[拡大縮小/回転]の式は

\begin{align*} z'-\alpha=(z-\alpha)\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi}) \end{align*}

でしたが,これは複素平面上のベクトルの[拡大縮小/回転]と考えると,すっきり説明ができます.

複素平面上のベクトル

xy平面は複素平面と同一視できるので,xy平面上のベクトルは複素平面上のベクトルと同一視できます.例えば,

  • xy平面上の点\mrm{A}(1,1), \mrm{B}(4,3)に対して,\Ve{AB}=(3,2)
  • 複素平面上の点\mrm{A}(1+i), \mrm{B}(4+3i)に対して,\Ve{AB}=3+2i

が対応します.

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このように,複素平面上の2点\mrm{A}(\alpha), \mrm{B}(\beta)があるとき,\Ve{AB}は複素数\beta-\alphaで表すことができます.

ベクトルの拡大縮小/回転

ここでもう一度,点\mrm{A}(\alpha)中心の[拡大縮小/回転]を考えます.

すなわち,複素平面上の点\mrm{P}(z)に対して,

  • \mrm{A}(\alpha)からの距離をs
  • \mrm{A}(\alpha)中心に偏角を+\phi

した点を\mrm{Q}(z')とします.この状況は

  • ベクトル\Ve{AP}の長さをs
  • ベクトル\Ve{AP}の偏角を+\phi

したベクトルが\Ve{AQ}である,ということもできますね.

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このように,

  • \mrm{A}(\alpha)中心の回転
  • 点Aを始点とするベクトルの回転

は同じものとみることができます.

さて,点\mrm{A}(\alpha)中心の回転であることから,

\begin{align*} z'-\alpha=(z-\alpha)\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi}) \end{align*}

が成り立つわけですが,\mrm{A}(\alpha), \mrm{P}(z), \mrm{Q}(z')であることから,

  • 左辺のz'-\alpha\Ve{AQ}を表し,
  • 右辺のz-\alpha\Ve{AP}を表す

ということが分かります.このことをまとめると,以下のようになります.

[ベクトルの回転] s\geqq0, \phiを実数とする.複素平面上の3点\mrm{A}(\alpha), \mrm{P}(z), \mrm{Q}(z')に対して,

\begin{align*} z'-\alpha=(z-\alpha)\cdot s(\cos{\phi}+i\sin{\phi}) \end{align*}

が成り立つとき,ベクトル\Ve{AQ}

  • ベクトル\Ve{AP}s倍拡大
  • ベクトル\Ve{AP}+\phi回転

したベクトルである.

このように,ベクトルの回転とみるとz'-\alphaz-\alphaをまとめて考えることができ,すっきりと理解することができますね.

最後までありがとうございました!

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