複素数7
虚数解をもつn次方程式の頻出問題2タイプ

複素数
複素数

そもそも高校数学で複素数が現れたのは,2次方程式の実数でない解を表すためでした.

例えば,実数は2乗すると必ず0以上となるため,実数$x$に対して$x^2+1=0$の左辺は1以上となりこの等式は成り立ち得ません.

しかし,2乗すると$-1$となる虚数単位$i$を導入することで,未知数$x$の2次方程式$x^2+1=0$の解を$\pm i$と表せるようになるのでした.

このように,複素数$a+bi$ ($a,b$は実数)は$n$次方程式を考える上で重要な役割を果たします.

この記事では

  • 虚数解をもつ$n$次方程式
  • 1の原始3乗根$\omega$

を順に説明します.

虚数解をもつ$n$次方程式

$n$次方程式が虚数解をもつような$n$次方程式は,大学入試でもよく出題されます.

虚数解と共役複素数(復習)

まずは虚数共役複素数を思い出しておきましょう.

複素数$z=a+bi$ ($a,b$は実数)を考える.$b\neq0$のとき,この複素数$z$を虚数 (imaginary number)という.

例えば,$2+i$, $3-2i$, $5i$のように虚部が0でない複素数のことを虚数というわけですね.

複素数$z=a+bi$ ($a,b$は実数)に対して,複素数$a-bi$を$z$の共役複素数といい,$\overline{z}$で表す.

つまり,虚部の正負を入れ替えてできる複素数を共役複素数というわけですね.

例えば,$2+i$の共役複素数は$2-i$であり,$5i$の共役複素数は$-5i$ですね.

虚数解をもつ実数係数$n$次方程式

$n$次方程式の虚数解について,以下が成り立ちます.

実数係数の$n$次方程式が虚数解$\alpha$をもてば,その共役複素数$\overline{\alpha}$も解となる.

たとえば,$x$の方程式$x^2+x+1=0$は平方完成により

   \begin{align*}x^2+x+1=0 \iff& \bra{x+\frac{1}{2}}^2=-\frac{3}{4} \\\iff& x+\frac{1}{2}=\pm\frac{\sqrt{3}}{2}i \\\iff& x=-\frac{1}{2}\pm\frac{\sqrt{3}}{2}i\end{align*}

と解くことができ,この2つの解

  • $-\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}i$
  • $-\dfrac{1}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}i$

は確かに共役複素数ですね.

いまの例のように,実数係数の$n$次方程式が虚数解$\alpha$を持つなら,実際に解かなくても必ず$\alpha$の共役複素数$\overline{\alpha}$も解になっているということを主張しているのが上の定理なわけですね.

実数係数の$n$次方程式$c_nx^n+c_{n-1}x^{n-1}+\dots+c_1x+c_0=0$が虚数解$\alpha$をもつとする.このとき,$x$に$\alpha$を代入した等式

   \begin{align*}c_n\alpha^n+c_{n-1}\alpha^{n-1}+\dots+c_1\alpha+c_0=0\end{align*}

が成り立つ.係数$c_0,c_1,\dots,c_n$は実数だから複素共役をとっても変わらないことに注意すると,両辺で複素共役をとることにより

   \begin{align*}&\overline{c_n\alpha^n+c_{n-1}\alpha^{n-1}+\dots+c_1\alpha+c_0}=\overline{0} \\\Ra&c_n\overline{\alpha}^n+c_{n-1}\overline{\alpha}^{n-1}+\dots+c_1\overline{\alpha}+c_0=0\end{align*}

が成り立つ.

最後の等式は$n$次方程式$c_nx^n+c_{n-1}x^{n-1}+\dots+c_1x+c_0=0$に$\overline{\alpha}$を代入してできる等式なので,$\overline{\alpha}$も解ということになります.

証明中の$\Ra$では複素共役は四則演算でバラバラにできることを用いています.

定理の注意点

定理の中の「実数係数の」という部分は欠かせません.

たとえば,複素数係数の方程式$x^2-2ix=0$は

   \begin{align*}x^2-ix=0 \iff& x(x-i)=0 \\\iff& x=0,i\end{align*}

となって,虚数解$i$をもちますが,この共役複素数$-i$は解ではありませんね.

このように,この定理は実数係数の$n$次方程式にしか成り立たないので,答案の中でこの定理を用いる際には「実数係数だから」などと一言書いておく方が良いでしょう.

1の原始3乗根ω

3乗して初めて1になる複素数のことを1の原始3乗根といい,これを$\omega$と表すことがよくあります.

1の原始3乗根$\omega$は「$x$の3次方程式$x^3=1$の1でない解」と言っても同じことですね.

高校数学では1の原始3乗根$\omega$を題材とする問題がよく出題されるので,ここでまとめておきます.

同様に原始$n$乗根が定義できますが,この言葉は高校数学では知らなくても問題ありません.

1の原始3乗根ωの性質

1の原始3乗根$\omega$を扱う際には,以下の3つの性質がポイントです.

$x$の3次方程式$x^3=1$の1でない解$\omega$は虚数で,

  • $\omega^3=1$
  • $\omega^2+\omega+1=0(\iff\omega^2=-\omega-1)$
  • $\omega^2=\overline{\omega}$

が成り立つ.

$\omega$は$x$の3次方程式$x^3=1$の解なので,$\omega^3=1$が成り立つ.移項して因数分解すると

   \begin{align*}x^3-1=0\iff& (x-1)(x^2+x+1)=0\end{align*}

なので,$\omega\neq1$と合わせて$\omega^2+\omega+1=0$を得る.よって,$\omega$は$x^2+x+1=0$の解である.

また,2次方程式$x^2+x+1=0$の判別式は$1^2-4\cdot1\cdot1=-3<0$なので,$\omega$は虚数と分かります.

$\omega^3=1$の両辺で絶対値をとると,$|\omega|^3=1$なので$|\omega|=1$となるから,

   \begin{align*}\omega\overline{\omega}=|\omega|^2=1^2=1=\omega^3\end{align*}

が成り立つ.$\omega\overline{\omega}=\omega^3$の両辺を$\omega$で割って,$\omega^2=\overline{\omega}$を得る.

2つ目の性質は$\omega^2+\omega+1=0$と$\omega^2=-\omega-1$のどちらの形にも,ピンとくるようにしておきましょう.

ωの多項式

$\omega$と$\overline{\omega}$の多項式については,以下の事実を当たり前にしておきたいところです.

$\omega$と$\overline{\omega}$の多項式は,$\omega$の1次式以下の多項式($A\omega+B$の形)に変形できる.

試しに以下の問題を解いてみましょう.

$x$の3次方程式$x^3=1$の1でない解$\omega$に対して,$2\omega^{100}+\overline{\omega}^{100}+3$を$\omega$の1次式以下の多項式に変形せよ.

使うものは,先ほどみた$\omega$の3性質

  • $\omega^3=1$
  • $\omega^2+\omega+1=0(\iff\omega^2=-\omega-1)$
  • $\omega^2=\overline{\omega}$

です.

$\omega^3=1$より

   \begin{align*}\omega^{100}=\omega(\omega^{3})^{33}=\omega\end{align*}

であり,$\omega^2=\overline{\omega}$と$\omega^3=1$と$\omega^2=-\omega-1$より

   \begin{align*}\overline{\omega}^{100}=&(\omega^2)^{100}=\omega^{200} \\=&\omega^{2}(\omega^{3})^{66}=\omega^{2}=-\omega-1\end{align*}

である.よって,

   \begin{align*}2\omega^{100}+\overline{\omega}^{100}+3 =&2\omega+(-\omega-1)+3 \\=&\omega+2\end{align*}

となる.

このように,$\omega$と$\overline{\omega}$の多項式は

  1. $\overline{\omega}=\omega^2$を使って,$\omega$の多項式にする
  2. $\omega^3=1$を使って,3次以上の項を2次以下の項にする
  3. $\omega^2=-\omega-1$を使って,2次の項を1次にする

の3ステップで$\omega$の1次式に変形することができるわけですね.

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