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微分の基本1|微分係数の定義と図形的意味,接線の定義

  
   

放物線(2次関数)y=f(x)と直線(1次関数)y=g(x)が接するかどうかといった問題は,判別式Dを用いてD=0となるのかどうかを調べるのがよくある方法です.

つまり,この問題は「放物線」と「直線」が与えられていて,それらが接するかどうかの判定です.

さて,これから解説する「微分」を用いると,「放物線」と「放物線上の点\mrm{A}」が与えられれば,点\mrm{A}での放物線の「接線」を求めることができます.

「微分」は非常に汎用性が高く,放物線だけでなく,そのほか多くの関数に対しても接線を求めることができます.

この記事では,「微分」の初歩として,「微分係数」について説明します.

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微分係数の定義と図形的意味

x=aにおける曲線y=f(x)の「接線」lの方程式を求めることを考えます.このとき,lx=ay=f(x)と接するので,lが点\mrm{A}(a,f(a))を通ることは分かります.

「通る点」と「傾き」が分かれば直線の方程式は求まりますから,あとはlの傾きが分かればlの方程式は求まりますね.

ここで,lの傾きを求めるために,次のように考えます.

[考え方]

\mrm{A}ではないy=f(x)上の点\mrm{B}(b,f(b))を考える.

このとき,b\to aとすれば,直線\mrm{AB}の傾きはlの傾きに近付いていく.

いま,直線\mrm{AB}の傾きが\f{f(b)-f(a)}{b-a}だから,極限\li_{b\to a}\f{f(b)-f(a)}{b-a}lの傾きに一致しそうである.

 

[考え方終]

【参考記事:極限の基本1|lim(リミット)は何を意味しているのか

ただし,図でa<bの場合とb<aで分けているように,極限\li_{b\to a}\f{f(b)-f(a)}{b-a}を考えている以上,baより大きい方からも,aより小さい方からも近付けて同じ値に近付かなければなりませんが,今はひとまず措いて構いません.詳しくは後述します.

以上の考察を踏まえ,以下の定義を見てみます.

[定義] 関数f(x)と実数aに対して,\f{f(b)-f(a)}{b-a}を「xaからbまで変化するときの関数f(x)平均変化率」という.

また,極限\li_{b\to a}\f{f(b)-f(a)}{b-a}が存在するとき,f(x)x=a微分可能であるという.また,この極限を「関数f(x)x=aにおける微分係数」といい,f'(a)と表す.

直線の傾きは「変化の割合」ともいいますが,「平均変化率」はこの「変化の割合」に似ていますね.

xaからbまで変化したとき,f(x)f(a)からf(b)まで変化しますから,この変化を直線とみなしたとき(つまり直線\mrm{AB})の「変化の割合」が「平均変化率」ですね.

さらに,baに近づけるとき,直線\mrm{AB}の傾きはlの傾きに近付きます.したがって,「微分係数」は「接線の傾き」を表すことになります.

接線の方程式

さて,微分係数を用いて,y=f(x)の点(a,f(a))での接線lを表します.今考えたように,点(a,f(a))での接線の傾きはf'(a)でした.

つまり,lは点(a,f(a))を通り,傾きがf'(a)なので,

y=f'(a)(x-a)+f(a)

となります.

【参考記事:図形と方程式の基本3|直線の方程式の導出

例1

f(x)=x^{2}のとき,

f'(1)
=\li_{b\to1}\f{f(b)-f(1)}{b-1}
=\li_{b\to1}\f{b^{2}-1}{b-1}
=\li_{b\to1}\f{(b-1)(b+1)}{b-1}
=\li_{b\to1}(b+1)
=2

なので,f'(1)=2となります.いま,y=f(x)x=1での接線は点(1,f(1)),すなわち(1,1)を通るので,

y=2(x-1)+1
\Lra y=2x-1

となる.

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例2

f(x)=2x^{3}のとき,

f'(-1)
=\li_{b\to-1}\f{f(b)-f(-1)}{b-(-1)}
=\li_{b\to-1}\f{2b^{3}-(-2)}{b+1}
=\li_{b\to-1}\f{2(b+1)(b^2-b+1)}{b+1}
=\li_{b\to-1}2(b^2-b+1)
=6

なので,f'(-1)=6となります.

いま,y=f(x)x=-1での接線は点(-1,f(-1)),すなわち(-1,-2)を通るので,

y=6(x-(-1))-2
\Lra y=6x+4

となる.

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注意1

[定義]において,ba+hとすると,b\to ah\to0は同値なので,

f'(a)=\li_{h\to0}\f{f(a+h)-f(a)}{h}

とも書けますね.

これは,xh増加したときのf(x)の平均変化率の極限とみたことになっています.

「微分係数」はxの増加が0に近付くときを考えているので,xの増加b-aをとしてb\to aを考えても,xの増加をhとしてh\to0を考えても,本質は全く変わりませんね.

f'(a)=\li_{b\to a}\f{f(b)-f(a)}{b-a}
f'(a)=\li_{h\to0}\f{f(a+h)-f(a)}{h}

のどちらの書き方も結局同じであることを納得してください.

注意2

例えば,例1で\li_{b\to1}\f{f(b)-f(1)}{b-1}をみたとき,「分母が0になるけど,b=1を代入していいの?」と思った人がいるかもしれません.

確かに,数学において分母が0のものを考えるのはご法度ですから,b=1を代入すると分母が0になってしまい,よくありません.

しかし,今考えているのは「極限」であって「代入」ではありません.

「極限」はあくまで「近付ける」ということであって,むしろb1に近付きはすれど,b=1にはならないのです.したがって,b\neq1だから\li_{b\to1}\f{f(b)-f(1)}{b-1}は考えることができる,というわけなのです.

接線の定義

さて,今まで「接線」と言ってきましたが,「接線」とは一体なんなのでしょうか?実は,判別式などで「接する」ということは定義してきましたが,「接線」そのものについての定義はされてきませんでした.

「微分係数」を定義したことによって,次のように「接線」を定義することができます.

[定義] 関数f(x)と実数aに対して,f'(a)が存在するとする.このとき,傾きf'(a)で点\mrm{A}(a,f(a))を通る直線lを曲線y=f(x)の点Aにおける接線という.また,点Aを接線l接点という.

微分係数を定義するとき,

「『接線の傾きを微分係数とする』と定義してはダメなのか……?」

と思った人もいるかもしれません.

しかし,今まで「接線」が何なのかを定義してこなかった以上,「微分係数」を「接線の傾き」と定義するわけにはいかず,平均変化率の極限として微分係数を定義し,そのあとで「接線」を定義する,という手順をとらざるを得なかったわけです.

ですから,結局言いたいことは「微分係数」=「接線の傾き」なんですね.

微分不可能な例

最後に,微分不可能な例,すなわち微分係数が存在しない例を1つ挙げます.そのために「右極限」,「左極限」を簡単に説明しておきます.

b\to0による極限は,たとえば「bをどのように0に近付けても値が同じ」であることを言います.つまり,b0より大きい方から近付けても,b0より小さい方から近付けても,同じ値に近付かなければなりません.

この右から近付けることを右極限といいb\to+0と書きます.同様に,左から近付けることを左極限といいb\to-0と書きます.

f(x)=|x|のときを考えます.

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x=0における右極限b\to+0を考えると,b>0なので|b|=bです.よって,

\li_{b\to+0}\f{f(b)-f(0)}{b-0}
=\li_{b\to+0}\f{|b|}{b}
=\li_{b\to+0}\f{b}{b}
=\li_{b\to+0}1
=1

となります.一方,x=0における左極限b\to-0を考えると,b<0なので|b|=-bです.よって,

\li_{b\to-0}\f{f(b)-f(0)}{b-0}
=\li_{b\to-0}\f{|b|}{b}
=\li_{b\to-0}\f{-b}{b}
=\li_{b\to-0}(-1)
=-1

となります.以上から,右極限b\to+0と左極限b\to-0の値が異なるので極限\li_{b\to-0}\f{f(b)-f(0)}{b-0}は存在しないことが分かりました.

したがって,f'(0)は存在しません.

また,関数y=f(x)x=0で「とんがっている」ので,x=0での接線は考えられそうにありません.そういった図形的な意味においても,微分係数が存在しないことが分かりますね.

微分の基本2|導関数の定義と直感的イメージ】に続きます.

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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