そもそも高校数学で複素数が現れたのは,2次方程式の実数でない解を表すためでした.
例えば,実数は2乗すると必ず0以上となるため,実数に対しての左辺は1以上となりこの等式は成り立ち得ません.
しかし,2乗するととなる虚数単位を導入することで,未知数の2次方程式の解をと表せるようになるのでした.
このように,複素数 (は実数)は次方程式を考える上で重要な役割を果たします.
この記事では
を順に説明します.
虚数解をもつ次方程式
次方程式が虚数解をもつような次方程式は,大学入試でもよく出題されます.
虚数解と共役複素数(復習)
まずは虚数と共役複素数を思い出しておきましょう.
複素数 (は実数)を考える.のとき,この複素数を虚数 (imaginary number)という.
例えば,, , のように虚部が0でない複素数のことを虚数というわけですね.
複素数 (は実数)に対して,複素数をの共役複素数といい,で表す.
つまり,虚部の正負を入れ替えてできる複素数を共役複素数というわけですね.
例えば,の共役複素数はであり,の共役複素数はですね.
虚数解をもつ実数係数次方程式
次方程式の虚数解について,以下が成り立ちます.
実数係数の次方程式が虚数解をもてば,その共役複素数も解となる.
たとえば,の方程式は平方完成により

と解くことができ,この2つの解
は確かに共役複素数ですね.
いまの例のように,実数係数の次方程式が虚数解を持つなら,実際に解かなくても必ずの共役複素数も解になっているということを主張しているのが上の定理なわけですね.
実数係数の次方程式が虚数解をもつとする.このとき,にを代入した等式

が成り立つ.係数は実数だから複素共役をとっても変わらないことに注意すると,両辺で複素共役をとることにより

が成り立つ.
最後の等式は次方程式にを代入してできる等式なので,も解ということになります.
証明中のでは複素共役は四則演算でバラバラにできることを用いています.
定理の注意点
定理の中の「実数係数の」という部分は欠かせません.
たとえば,複素数係数の方程式は

となって,虚数解をもちますが,この共役複素数は解ではありませんね.
このように,この定理は実数係数の次方程式にしか成り立たないので,答案の中でこの定理を用いる際には「実数係数だから」などと一言書いておく方が良いでしょう.
1の原始3乗根ω
3乗して初めて1になる複素数のことを1の原始3乗根といい,これをと表すことがよくあります.
1の原始3乗根は「の3次方程式の1でない解」と言っても同じことですね.
高校数学では1の原始3乗根を題材とする問題がよく出題されるので,ここでまとめておきます.
同様に原始乗根が定義できますが,この言葉は高校数学では知らなくても問題ありません.
1の原始3乗根ωの性質
1の原始3乗根を扱う際には,以下の3つの性質がポイントです.
はの3次方程式の解なので,が成り立つ.移項して因数分解すると

なので,と合わせてを得る.よって,はの解である.
また,2次方程式の判別式はなので,は虚数と分かります.
の両辺で絶対値をとると,なのでとなるから,

が成り立つ.の両辺をで割って,を得る.
2つ目の性質はとのどちらの形にも,ピンとくるようにしておきましょう.
ωの多項式
との多項式については,以下の事実を当たり前にしておきたいところです.
との多項式は,の1次式以下の多項式(の形)に変形できる.
試しに以下の問題を解いてみましょう.
の3次方程式の1でない解に対して,をの1次式以下の多項式に変形せよ.
使うものは,先ほどみたの3性質
です.
より

であり,ととより

である.よって,

となる.
このように,との多項式は
- を使って,の多項式にする
- を使って,3次以上の項を2次以下の項にする
- を使って,2次の項を1次にする
の3ステップでの1次式に変形することができるわけですね.
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